第5章 近付く距離(●)
『寝るのが遅いと朝はやっぱ辛いわね…』
大きな欠伸をしながら部屋のモップ掛けをする。
毎日の掃除をしないとリサは落ち着かない。
ドンドン
誰かがドアを叩く。
反射的にビクッとなりリサは黙ったまま、モップの柄を握る。
『……怯えるな、俺だ。』
『リヴァイさん!?』
リサの恐怖感をドア越しに感じ取ったリヴァイはゆっくりとした声をかけた。
持っていたモップを壁に持たれ掛けさせ急いでドアを開ける。
『お、おはようございます!朝早くからどうしたんですか?!』
『いや、今朝の掃除が早く終わったから……来た』
朝から掃除とはリヴァイさんらしいとリサはクスクス笑う。
笑うなとリヴァイはリサの額を指でツンと押す。
『今日はイザベルやファーランさん達と一緒じゃないんですか?』
背伸びをしてリヴァイの後ろ側を見る。
『いつもいつも一緒にいるわけじゃねぇ。彼奴らの持ち場は全然掃除がなってなかったからやり直しさせてるところだ』
『て、手厳しいですね』
『あぁ、掃除は基本だ。だが、お前はさすがだな。よしと言いたくなる部屋だ』
隅々まで見られてるようで少し恥ずかしくなる。
リサは掃除を教えてくれたおばあちゃんに心の中で感謝した。
『ところで、リサはいつまでその格好でいるつもりだ?まさかそのまま外をうろつくわけじゃねぇだろうな…』
へ?と自分の服を見ると薄いピンクのワンピースのパジャマのままだった。
胸元も大きめに開いていて屈むと見えそうになる。
『あ、いや、あの…、掃除終わったら着替えようと思ってまして…。不快な姿お見せしてすみません!すぐ着替えますね!』
『いや、不快じゃねぇ。俺は気にしないが、それで外をうろつくなよ』
気にしないと言われると少しヘコむ。
イザベルのように妹ぐらいにしか思ってないのだろうなと、リサは苦笑いしながら着替えて来ますとシャワー室の部屋へと行く。
『朝から刺激的過ぎんだよ。……ヤバいな』
何か紛らわすようにリヴァイは見つけたモップを手に取った。