第36章 碧い目
『お、お話・・・ですか?』
少し見上げるとリヴァイのグレーがかった瞳と自分の瞳が重なる。エルヴィンの瞳も綺麗だったが、リヴァイも綺麗な瞳だとリサは思ったが、それがまたリヴァイの鋭い感によって空気を察しられる。
『・・・・・・今、何を考えた?お前の瞳の奥で俺ではない男の影が見えたようだが・・・』
『なっ・・・!私の目に何が写ってるんですか?!』
『リサ・・・言ってくれ』
頬をするりと撫でられ、そのまま顎を上に向けられる。リヴァイの細めの指はひんやりとしていて、ずっと外でリサの帰りを待っていたのがリサにも分かった。
このまま黙って、何もなかったと一貫していればいずれリヴァイも諦めるかもしれない。だけど、真っ直ぐに心配しているリヴァイを蔑ろにもリサはできない。
『リヴァイさん・・・実は・・・』
『ほぅ、話す気になったか・・・』
掴んでいた手の力を緩め、指を絡めるように握る。リサは玄関先で話すのも・・・と改めて紅茶を用意する為に手を繋いだまま奥へと進む。
『リサ、今は紅茶より先に話を聞かせてくれ』
『あー、えっと・・・どこから話せばいいのでしょ・・・。キーランドっていう男の人がいまして・・・』
『あ?キーランド?たしか、前に俺が額に瓶を蹴り当てたやつだろ?』
『え、その人のこと知ってたんですか?!』
『いや、あの時は知らなかった。後々調べたら憲兵のリストに載ってると知って名前は頭に入れておいた。何せ・・・俺のハンカチを売り飛ばしたやつだからな・・・』
ギリッと歯ぎしりすると、険しい目付きになる。リサはこのまま話を続けるのが少し不安になった。
『そのキーランドとかいうやつがどうした?』
『えっと・・・えっと・・・逆恨みをされました』
『・・・何だと?もしかして・・・襲われたのか?』
リサが小さく頷くと眉間のシワが深くなる。
自分が悪いことしたわけではないのに、リサはヒッ!と小さな声をあげた。