第36章 碧い目
ミケはエルヴィンから男1人を抱え持ち肩に背負う。すると、そのままエルヴィンの黒いコートに鼻を近づけた。
『・・・・・・微かに匂うな』
『私から彼女の匂いを嗅ぎとるのは止めてくれ・・・。そんな近くに彼女がいたわけではないよ』
『そうなのか・・・?暴行されかけていたなら、彼女は裸だったんだろ?』
『ミケは私を何だと思ってるんだ・・・』
はぁぁとエルヴィンはため息をすると、空いている方の手でミケに進むように背中を押す。
ミケは鼻で笑うと通行証を片手に地上へと上がって行った。後を追うようにエルヴィンも通行証を取り出し、地上の明かりに目を細める。
『リサ、また2週間後に来るよ』
『リヴァイさん!!ただいま!!』
『・・・・・・・・・あぁ』
立体機動で飛んでいると、自分の家の前でリヴァイが腕を組んでもたれかかっているのが見えて、リサは着地すると嬉しそうに手を振りながら駆け寄る。
『遅くなってごめんなさい!』
青筋立てているような雰囲気にリサはぺこっと頭を下げる。すると、リヴァイに頭を上げるように言われ恐る恐る顔を上げた。
『・・・随分遅かったが何もなかったか?』
リサは喉から変な声が出そうになった。
『はいっ・・・!リヴァイさんこそ、お怪我ありませんか?』
『俺の方は大丈夫だ。少しばかり時間がかかったから、先にお前が帰ってきてると思ってこっちに来てみれば留守で、さらに待ってても帰ってこねぇし・・・迎えに行こうと思ったらリサが帰ってきたってとこだ』
『ご、ご心配おかけしました・・・』
早口で言いながら腕を組んでいる手の人差し指がトントンと動いている。リヴァイは怒っているようだ。
『で?何があったか話せ・・・』
『い、いや・・・だから何もありませんよ?ローザさんも無事に行かれましたし、良かった良かった!あ、リヴァイさんお茶していきます?!』
『・・・・・・・・・』
リサはドアを開けてどうぞどうぞとリヴァイを押すように招く。リヴァイは舌打ちすると、腕組みを解き中へ入ることにする。
『リヴァイさん、紅茶入れま・・・・・・きゃっ!!』
『#NAME1・・・俺を欺くにはまだまだ早い』
リヴァイはリサの手を掴むと壁に押し当てた。
『俺とお喋りしような、リサ』