第36章 碧い目
リサはエルヴィンの黒いコートを掴む。よろける事なくエルヴィンは何かな?と振り向いた。
『まだ貴方に名前を言ってなくて・・・』
『私に君の名前を教えてくれるのかい?』
『もちろんですよ!!エルヴィンさんは私を助けてくれた恩人ですから!私はリサって言います』
『リサか・・・君にぴったりの名だ』
『そ、それとお礼になるか分かりませんが・・・、その探し物を探すお手伝い・・・させてもらえませんか?地下街のことなら私の方が詳しいですし・・・』
何かをされたままってのは性にあわないリサは控え目に尋ねる。エルヴィンの瞳の奥の何かが揺れたが、それに気づかないリサは何も言わないエルヴィンに首を傾げた。
『・・・それは願ってもない申し出だな。この辺りに詳しいリサが協力してくれるならすぐに見つかるだろう』
『任せてください!!』
リサは笑顔でドンっと右胸を拳で叩く。
『リサ、敬礼の拳は・・・』
『敬礼・・・??』
『あ、いや・・・すまない。つい癖が出てしまったようだ・・・。気にしないでくれ』
エルヴィンな目を泳がすと、男2人を抱え直す。すると、片方の男からうめき声が聞こえた。
『おっと・・・目が覚める前に拘束しなくては・・・。リサ、2週間後にまたここに来るから協力してくれるならここで落ち合おう』
『分かりました!エルヴィンさん、お気を付けて帰ってくださいね』
『あぁ、リサも』
そう言うとエルヴィンは笑顔を向けた後に地上に上がる階段のある方へと向かっていった。
エルヴィンを暫く見送ったあと、きっともう仕事が片付きアジトに戻っているリヴァイが心配しているかもしれない気がして、急いで立体機動装置を取りに行った。
『何だ、そいつらは?』
『ミケか・・・。ブラックリストに載っていたキーランドだ。女性を暴行しようとしていた』
『さすが地下街だ・・・。お前も災難だったな。それで、ここの用事は済んだのか?』
『いや、まだだ。それに気になることも増えた。探し物は助けた女性と探すことになったよ。美しく、律儀で真面目な女性だ』
『お前が女連れて行動するとか・・・惚れたか?』
『ははっ!どうかな?』