第36章 碧い目
『詳しくは言えないが私はある”調査”をしている。それは自分の夢でもあり、人類の為だと思っている。その為なら私は己の感情を捨てて前へ進むことが出来る』
『何か大きなことをしようとしているんですね。事件を解決しようとする探偵みたいです』
『なるほど、探偵か・・・、まぁ・・・今はそんなところだ。おっと、レディの前でフードを被ったままで失礼したね』
優しい笑みを見せるとエルヴィンは被っていた黒いコートのフードを取る。吸い込まれそうな碧い目はいっそう澄んでいて、鮮やかな金色の髪の毛だった。
───エルヴィンさんって、リヴァイさんとは対照的な雰囲気ね・・・。でも、カリスマ的な感じは同じかも・・・
『ははっ、私は珍しい顔でもしていたかな?あまり真剣に見られると照れてしまうね』
『す、すみません!!と、ところで、エルヴィンさんはどうして地下街に?』
声を掛けられるまで無心でエルヴィンをずっと見つめてしまいリサは慌てる。
『ある物を探している』
『・・・ある物??お仕事に関係することですか?』
『あぁ、とても大事なものだ』
スっと微笑みが消え真剣な表情を見せる。
『・・・しかし』
『・・・??』
また笑顔になる。
色々な表情を見せるエルヴィン。
奥底にある感情と表面に表れる笑顔を読み取るには複雑で、初対面にも関わらず引き込まれそうになる。
『先にやってしまわないと行けない仕事が出来たよ』
『あ・・・』
『彼らを地上まで連行しないとね。探し物は今度だ』
完全に伸びている大柄な男たちに指をさす。大事な仕事があったのに邪魔をさせてしまったような気持ちになり申し訳なく感じた。
そんなリサの表情を察したエルヴィンはリサの肩に手を置く。
『だ、誰か男性を呼んできましょうか?おひとりでその方たちを運ぶのは大変でしょう?』
『お気遣い感謝するよ。大丈夫、近くに連れがいる』
エルヴィンは両肩に大柄な男2人を担ぎ、リサはギョッとする。
2人を担いだエルヴィンは、リサに気をつけて帰るように諭し娼館から出る。
『待って!エルヴィンさん!』