第33章 シュシュとお見送り
『ローザさ~ん!!』
遠目からローザの姿を見つけると手を振りながら近くに着陸する。
荷馬車に積荷を運んでいた途中だったようで、娼婦を辞めたローザはいつものようなドレスではなく、綺麗めなワンピースを着ていた。
『・・・ちょ、ちょっと!!新聞見たわよ!!何、普通に飛んできてるわけ?!』
リサの肩を掴んで信じられない!と前後に揺らす。
『そ、そうなんですけど!私じゃなくてリヴァイさんに言ってくださいっ』
『え、リヴァイも来てるの?』
『・・・ローザ、結婚するんだってな。幸せになれ』
『あははっ!まさかリヴァイまで来てくれるなんて思ってなかったわ。心配せずとも地上で先に幸せになってあげるわ。・・・・・・まぁ、ありがと』
ローザはべーっと舌を出して笑う。
『そうかよ。お前が家事とかしてるイメージないな・・・捨てられんようにな』
『相変わらず口悪いわね!』
ローザの様子を見ていると完全にリヴァイへの想いは消えているようで、リサは恋敵がいなくなり安堵しつつも、それはそれで寂しいような気がした。
自分の右肩に置かれたローザの薬指にリサは目を奪われる。大きめな鉱石が主張されたデザインはローザさんっぽいなぁなんて思いながらも、その指に嵌める指輪に憧れる。
リヴァイへ悪態ついていたローザは自分の指に視線を送っていたリサの目に気付く。
『女・・・だからね。そりゃこういうのも憧れるよね』
へ?とローザと目が合う。
ローザはリサから手を離すと自分に嵌められた指輪を見つめる。
『地下の娼婦には不似合いの指輪よね。地下街で結婚してもこんな豪華な指輪なんて貰えないもの』
『すごくローザさんに似合ってます!!』
『ほんと、リサは優しすぎるわ。こんな立派な指輪が贈れる程の家柄で私みたいな薄汚れた女なんてやっていけるのかしらって・・・。でも、彼が守ってくれているから・・・だから、私も彼を支える為に頑張ろうって思えるの』
『ローザさんはやっぱり強い。私なんか頑張りたくてもどう頑張ったらいいのか分からないし、ずっと皆に守られてばっかりで・・・。それに比べローザさんは綺麗で芯があって・・・ちょっと意地悪なところもありますけど・・・』
『最後、悪口よね?』
『ち、違いますよ!!』