第32章 君の為の約束
『うぅっ・・・』
リサは悔しくてリヴァイに抱きしめられたまま、涙を流している。
いずれは知られると覚悟していたが、いざリサに泣かれるとリヴァイも抑えていた怒りが起きそうになる。
『リサ~、もう泣くなよぉ・・・。みんなリサには笑っていて欲しいんだ。ほら、窃盗団ってだけで俺たちの名前が書いてあるわけじゃないんだからさ!』
『イザベルの言う通りだ。窃盗団なんて地下にはあちこちにいるからさ!一々取り締まるような真面目な憲兵なんてほぼいないし、俺たちが簡単に捕まるように見える?』
いつの間にかリサの傍にはイザベルとファーランも集まっていた。
『・・・・・・見えません』
ようやく顔を見せたと思ったら涙で顔が濡れていて、イザベルはプッと吹き出すと笑い出す。
そんなに変な顔になってるのかと、リヴァイに見られる前にハンカチで目元を押さえた。
イザベルが記事を気にしていない雰囲気で笑うものだから、リサも吊られて泣きながら笑ってしまう。
『ふふっ・・・もう・・・ぐすっ・・・笑わせないでよ・・・ふふっ』
泣いたかと思いきや、今度は肩を震わせて笑っているリサを見下ろすと、リヴァイは大丈夫と判断しリサの頭にキスを1つ落とすと一旦離れ、冷やしたタオルをリサに渡す。
『ありがとうございます・・・。ひんやりして気持ちがいいです』
『これで目の腫れも引くだろう。おい、突っ立ってないでお前らも座れ』
タオルで目を押さえているリサの手を握り、ソファーまで誘導する。リサが落とした新聞をファーランが拾うと、冷たい目で丸めてゴミ箱へと投げ捨てた。