第31章 新聞と林檎
『リサがなっ!俺とお揃いのシュシュ作ってくれるんだって!!』
『それ、さっきも聞いたから・・・。イザベルはよっぽど嬉しかったんだな』
ファーランの肩を掴んでピョンピョン跳ねる。イザベルの体重がかかった肩はだいぶ下がってしまいファーランはよろける。
リヴァイは紅茶を飲みながら、表情には出さないが微笑ましく聞いていた。
『それだけ楽しみにしてくれてるなら私も嬉しいよ。色はどうしよっか?イザベルが決めてくれていいよ』
『ほんとか!それなら・・・茶色と白かな!』
『なんか意外。理由はあるの?』
『へへへっ!ちゃんと理由があるんだなー!』
イザベルはリサに身振り手振りで説明する。
自分がリヴァイとファーランの元にやってきた経緯やその時に保護した小鳥のこと。
怪我をして飛べなくなった小鳥は元気になり自由な空へと羽ばたき、今はいない。
元気になったのは喜ばしいが可愛がって、とてもなついていた為に別れは寂しかったと。
『そんな事があったんだ。もしかして小鳥の色だった茶色と白ってこと?』
『そう!しかも大好きなリサが作ってくれるとか最高だ!!』
『・・・・・・あぁ、そんな事もあったな』
『任せて!ほんと、私の知らない過去が色々あるんですね!』
そんな前でもない気がしたが、リサと出会ってから毎日が濃くてリヴァイは充実していると密かにリサに感謝する。
『皆さん、林檎食べましょー!密がたっぷりで甘そうです』
食べやすいサイズにカットしてそれぞれの場所にお皿を置く。
『おい、リサ・・・林檎の数おかしいぞ。3つあったはずだろ?しかも、お前の分だけ少ねぇ』
そう言うとリヴァイは自分の分をいくつかリサの皿に乗せる。リサは慌てて戻そうとするが、腹がいっぱいだからお前が食え・・・と、蓋をするように皿の上に手を添えた。
『リヴァイさん、ありがとうございます』
『裁縫するんだろ?甘いもん食って集中力補え』
そんな難しい作業じゃないのにとリサは微笑むと、リヴァイの優しさを有難く頂くことにした。