第31章 新聞と林檎
『リサ、すっげー肌すべすべだな!』
『そ、そうかな?イザベルの方が肌綺麗よ。はい、頭洗ってあげるから少し屈んで~』
『はーい!姉ちゃん!イシシッ』
『もう~。可愛い妹は目を閉じててね~』
二ーっと上下の白い歯を見せるとリサの目の前で頭を差し出す。幼くも愛嬌のあるイザベルにリサもついつい世話焼きになる。姉妹がいないリサには本当の妹のようで可愛いと思った。
『イザベルの髪の色、綺麗で素敵よね』
普段はボサボサがちなイザベルのブラウンレッドの髪も水流に合わせて真っ直ぐにしなだれる。
『俺はリサの髪が好きだ!艶々だし柔らかいからな!・・・・・・うぇっ!口に石鹸入った・・・』
『大丈夫?流しながら喋るからよ~。私の髪、柔らかすぎて癖が付きやすいのよねぇ。はいっ!おしまい』
洗い終わったイザベルの髪を軽く水を切ってあげる。
それなのにイザベルは動物のように首を横に降って水を切るからリサの顔も水浸しになる。
『次は俺がリサを洗う番だから!』
『ふふっ、ありがとう。じゃぁ、お願いね』
リサは後ろを向いてしゃがむ。イザベルは普段の荒っぽさを忘れたかのように丁寧にリサの髪を洗う。リサは自分の髪から流れる湯を見て、あ!と声を上げる。
『イザベル!いい事思いついた!私、イザベルとお揃いのシュシュ作ろうと思うんだけど使ってくれる?』
『すっげーいいなっ!!俺、毎日付けるから!!』
『・・・・・・リサとイザベル楽しそうだね。腹減ったけどさ・・・』
『まぁな。だいぶ長いことシャワー浴びてるようだ・・・』
女の子同士のキャッキャした大きな声はシャワー室から聞こえていて、とっくに起きていたリヴァイとファーランは静かに聞き耳を立てていた。
『・・・・・・そろそろ声掛けに行ったほうがいいね』
『・・・・・・俺が行く』
『はいはい、分かってるよ』
リヴァイは盛大に舌打ちをすると、リサ達に声を掛けに行った。
『ははっ、シャワー室のリサの裸のシルエットまでも独占したい・・・ってか』
ファーランが苦笑いしていると、向こうからイザベルの兄貴のエッチ〜という声が聞こえ、また苦笑いした。