第31章 新聞と林檎
『リヴァイさん、まだ寝てますよね?僕、後で持ってきます!』
『え、そんなまた来てもらうの悪いからいいよ。私が預かっておくし、渡しておくから』
はいっと手の平を差し出す。
『そ・・・それでは、お願いします・・・』
『任せて!帰ったら2人で林檎食べてね!他の人に内緒よ』
シーっと人差し指を立てながらウインクをするリサに、男の子は両手でしっかりと林檎を持って再びお礼を言うと階段を降りていく。
リサは男の子が見えなくなるまで見送ると、ようやく家の中へと入っていった。
『ヤバい・・・リサさんに渡してしまった。すっかり忘れていつも通りに来てしまったけど・・・、うわぁ・・・僕、林檎食べる資格ないかも』
はぁと男の子はため息をつくと、林檎を見下ろしながらとぼとぼと歩いた。
『新聞やっぱり見てたのね。何で、リヴァイさん新聞見てないって言ってたのかな・・・』
歩きながら丸まっている新聞の紐を解こうする。
『リサ~、おはよー・・・頭痛い・・・』
『あっ!おはよーイザベル!!早いね!あんまり飲んでないと思ったけど、二日酔いになったのかな?お水入れるから座って!』
『おー・・・』
手に持っていた新聞をキッチンの隅に置くと、ソファに座っているイザベルに水の入ったグラスを渡す。
『リサ、ありがとな。リサは頭痛くなったりしてない?』
『うん、私は大丈夫。心配ありがとうね』
いつもより早くに眠ったのもあるが、あんな激しい諸事していたら酔いも覚めるなぁとリサは少し顔を赤らめる。
『それにしても、ふふっ!イザベル、すっごい寝癖!』
イザベルの髪の毛は逆立っていて、額も全開である。
『リサ笑いすぎだー!昨日シャワー浴びれなかったから仕方ないんだよぉ』
『あ、そうなんだ!じゃぁ、一緒にシャワー浴びる?私もまだなの』
『一緒に入る!!俺、すぐ行くからリサ先に行っててな!』
『わかった!イザベルの分のタオルも用意しておくね』
イザベルと初めて一緒のシャワーだなぁと思いながらリサは先にシャワー室へ向かった。