第31章 新聞と林檎
『おはよう。こんな朝早くからどうしたの?リヴァイさん達ならまだ眠ってるよ?』
『リサさん!お、おはようございます!!』
ドアを開けてあげると度々ここを訪ねるリヴァイの仲間の1人が立っていて、見たことある顔ぶれに安心する。
リサよりも年齢は幼い男の子だけど、身長は同じぐらいだから顔も自然と近くなる。
訪ねてきた男の子もまさかリサが開けてくれるとは思わず、片足だけ後ずさりした。
『えっと・・・君は新聞をいつも運んできてくれてたよね?それと・・・あともう1人いたかな?』
『あ、はい!僕ともう1人いて、最近はもう1人のやつが運んでたんですけど、調子がよくないみたいで今日は僕が持ってきました』
『・・・・・・?』
───あれ?リヴァイさん、最近新聞読んでないって言ってなかったっけ?
男の子が丸めて片手で持っている新聞を見てリサは頭を捻る。
『・・・リサさん?』
『あ、ごめんね!お仲間さん体調が悪いのよね?ちょっと待ってて!!』
手の平を広げて待っててとアクションすると、足音を立てないようにキッチンへ行くと棚にしまっていた林檎を1つ持ち出す。
『はい、林檎!2人で食べてね』
『なっ!林檎なんて高級品ですよ!そんな高い物を僕に渡したって知られたらリサさん、リヴァイさんに怒られますよ!』
『大丈夫大丈夫!リヴァイさんはそんな事で私を怒ったりしないから』
『あ、ありがとうございます!それでは、林檎貰って帰ります』
男の子はずっしりとした林檎を受け取り、深くお辞儀をすると、にっこり笑って帰ろうとする。
『あっ、待って!新聞新聞っ!ふふっ、渡すの忘れちゃ駄目だよ~』
立ち去ろうとする男の子の裾を引っ張り、リサはおっちょこちょいだなぁと口に手を当てて笑う。
『あ・・・いや、その・・・』
リサとは反対に男の子は機械仕掛けのように、ぎこちなく首だけをリサに向けて青ざめていた。