第4章 無自覚の鳥
『あぁ、俺もだ。だが今のまま地上出てもまたすぐにこっちに戻らざるを得ない。まだ一般的に情報は流れてないが、近々地上への階段も値上がりする』
地上への階段の横を通り過ぎる。
既にぼったくりに近い価格が更に跳ね上がると地上に上がれなくなる。
まるでこれ以上、地上の人口を増やしたくないようにも思える。
『自力では無理そうですね。私はまだまだ鳥にはなれませんね』
はぁ~と軽くため息をつき、リサは階段を見ていた目線を進行方向へ戻す。
『…いや、そうでもない。リサ、少し遠回りする』
『リヴァイさん、どういうことです?……きゃぁ!』
グンっと身体が引っ張られるとスピードがあがる。
緩やかな時と違い、視界が一気に加速し身体への負荷がかかった。
『リ、リヴァイさん!速すぎます!!』
リサは思わずリヴァイにしがみつく。
『落ち付け、リサ。アジトへ向かう時は思わなかったが、今は背負われていながら俺が操作する立体機動装置の動きに身体を合わせているな?』
『え?あ、いえ、何となくですけどその方がリヴァイさんが動きやすいのかな…って』
『フッ、そんなやつ初めてだ。お前はセンスある』
繋がっていたアンカーを離し、右へとアンカーを飛ばす。
大きく遠心力がかかり思わず身体が浮き上がりそうなる。
『リヴァイさん!も、もう無理です~!』
少し上ずった声を上げると、リヴァイは口角を上げながら悪かったと、リサを片手で背負い直し、また元の道へ戻した。
『もしかして、楽しんでます?』
『まぁな。俺も久しぶりに気分が上がった。こういうのも…悪くない』
私もです。と、リサはリヴァイの背中にぴったりくっついた。