第4章 無自覚の鳥
『リサ、待たせたな。来るときは抱えてきたが次は背中に乗れ。』
足早に出てきたリヴァイは立体機動装置を再度確認する。
軽く屈むと乗れと振り返る。
『お、おんぶですか?』
『前だと横抱きになるから両手が塞がる。後ろなら片手で背負えるからな。不満なのか?』
『と、とんでもないです!』
お姫様抱っこは心臓に悪すぎる思いながら、リサはお願いしますとそっと背中に身体を寄せる。
見た目よりも筋肉質な背中は温かい。
回されてる腕はリサを乗せていてもビクともせず、安心感があった。
『あの、重たくないですか?』
『あ?…重いな。。。
……冗談だ。軽いくらいだ』
慌てて降りようとするリサを背負い直すと、振り返りながら口角を少し上げた。
『…やっぱり笑ってます。』
不意打ちの笑顔にリサは目が合わせれず、赤い顔を隠すようにリヴァイの肩に顔を伏せた。
『そろそろ行くぞ。リサ、落ちねぇようにしっかり掴まってろ』
顔を伏せたままリサは小さく返事をすると肩を掴む。
返事を確認したリヴァイは暗闇へ飛び立った。
緩やかなスピードで移動しているせいか、家々の微かな光が幻想的に見える。
見た事がない景色にここが地下街ということを忘れさせた。
『ここで育って初めて綺麗な景色って思いました。鳥になった気分です。鳥はこんな気分になるのでしょうね』
『そうか。イザベルもそういやそんな事言っていたな。俺は地下の鳥にはならねぇ…いつか地上へ行く。』
グンっと引っ張られる感覚にも少し慣れ、握っている肩に少し力を入れる。
『私もいつか行きたいです。』