第4章 無自覚の鳥
『リサ、もしかして寝てるのか?』
『ふぇ?…えっと、はい。。つい』
背中にぴったりくっついていたリサは、リヴァイの暖かい背中にいつの間にか夢現になっていた。
綺麗好きなリヴァイに涎が付けてないか心配になり、慌てて口を手の甲で押さえる。
『くくっ、立体機動装置中に寝てるやつとか初めてだぞ。お前は可笑しなやつだ』
背中が気持ちよくてとは言えず、小さい声ですみませんとリサは赤面した。
『自ら勧めるのは初めてだ。リサ、お前立体機動装置扱えるようになれ』
『え?』
『お前はセンスがありそうだからな。俺が保証する。だが、前にも言ったがリサには俺達のように窃盗などはさせるつもりはない』
『確かにそれは向いてないですね』
『あぁ。自由に扱えるようになれば、リサのいう鳥になれるかもな。こんな地下街だ、立体機動装置は簡単には手に入らねぇ。身丈が近いイザベルのやつを借りろ。メンテナンスはファーランにさせるから安心していい』
今日のイザベル達のやりとりを思い出して笑うリサ。
リヴァイからのまさかの提案にリサは嬉しさを隠しきれない。
少し近づけたような気がした。
『リサの家はここか?』
地面に足が着くとリヴァイは最後のアンカーを戻し、リサはリヴァイの背中からゆっくり降りた。
『はい!お背中ありがとうございました。すごく安定してて…それに楽しかったです!』
それは良かったなとリサは撫でられる。
表情は無愛想なままだが、優しい手付きに胸がギュッとなった。
『さぁ、家に入れ。家に入って鍵閉めるのを確認したら俺は行く』
『そこまで心配しなくても大丈夫ですよ?折角ですし、お茶していきます?』
『チッ、俺が先に行ってから何かあったらどうするんだ?…警戒心もないようだしな。それはまた今度でいい』
そう?とリサはあまり意味が分かってない様子にリヴァイはそっと腰を押して家に入るように促される。
『わ、わかりました。家に入ったらすぐに鍵閉めますね』
『あぁ、それでいい。立体機動装置の練習にまた迎えにきてやる』
また会える。
それだけで寂しい1人でも耐えていけそうだった。