第29章 素敵な朝
『ここで楽しく賑やかに暮らしていると寂しさを忘れられます。突然転がり込んだ私に、他のお仲間さんも良くしてくださってますし・・・本当に感謝しかありません』
『そっか。また自宅にも行けそうな時は連れて行ってあげるからね』
ここならリヴァイがいつもいるもんね、とファーランがからかうとリサは顔赤くして、ファーランの顔にシーツを押し付ける。そんなやりとりにファーランはまた楽しそうに笑った。
『洗濯・・・干す物まだあるなら俺も手伝うよ。他の仲間の分までゴメンな』
『いえ!これぐらいなんて事ないです!それでしたら、ファーランさん一緒に干しましょ』
ファーランは優しく頷き、自分に押し付けられたシーツを紐に掛けていく。慣れ親しんでいる石鹸の香りにリサの香りが混ざってるような気がして少し照れくさくなる。
『はい、次のシーツ取ってくれる?』
『あ・・・これリヴァイさんのやつなので・・・』
『ははっ、分かってるよ。念入りにシワを伸ばすから』
リヴァイのシーツだと言われたものを受け取ると、ファーランはさっきの物よりしっかりシワを伸ばす。
───このシーツの上でリヴァイはリサを何度も可愛がってるんだろうな・・・
リサがリヴァイの物になったと感じたのは遅くはなかった。2人を包む雰囲気があの戦いの後と最初とは違い、柔らかく温かいものになっている。正式に恋人と呼ぶ仲ではないけど、それに似通った物はある。
ファーランはまだ自分の奥でリサに対する恋心が消えないが、それでもいいと思った。
『ファーランさん、何か言いました?』
『何でもないよ。あ、ほら・・・こわぁい顔して窓からこっち見てる我らのリーダーがいる。リサ、残りはやっておくからリヴァイのとこ行っといで』
『え・・・でも・・・』
『いいからいいから!リサが美味い紅茶淹れて機嫌取っといてよ。この後の仕事に関わるからさ』
ポンっと背中を押すとリサは頷きお願いします!と笑顔で小走りに去って行った。リサがアジトに入るとすぐに窓から2人の様子が見えた。
リヴァイはすぐに優しい表情でリサに話し掛けていて、そんなリヴァイにリサも嬉しそうに話す。
ファーランは少し寂しそうに笑うと視線を戻し、託されたシーツを干した。