第29章 素敵な朝
手を胸に置き家族という響きを噛み締める。
仲間よりも強いキズナで結ばれているようで、そしてその一員として迎えてくれた。
心が澄んでいて、優しい3人がリサは大好きだ。
『たが・・・』
リヴァイは啜っていた紅茶のカップをおろす。
『窃盗団の仕事はこれからもさせねぇ。それ以外は好きにして構わん』
『わ、分かってますよ・・・。さぁ、冷める前に食べちゃいましょ!』
紅茶のおかわり淹れますねとリヴァイのカップを預かり、ゆっくり注いでいく。
リサは立体機動装置の扱いが随分上達した。今の腕なら窃盗団として役に立つことができる。
視察でも囮にでもなれる自信はある。それでもリヴァイは頑なに依頼への参加や助手としての参加もさせなかった。前々からリヴァイ達の役に立ちたいと思っていたリサは、協力したいと言う度にリヴァイから駄目だと言われ、日々のこうした料理や掃除をしていた。
『あっ!そういえば最近リヴァイさん新聞読んでないですね?いつもお仲間さんが持ってきてくれてたのに』
『あぁ、今は必要ないから頼んでねぇだけだ』
『そうですか・・・』
『・・・・・・・・・』
少し困ったような悲しいような表情で紅茶を入れるリサをリヴァイはジッと見つめる。
同じようにファーランも横目でジッとリヴァイを見ていた。
朝からしっかり朝食を取ったリサは元気に洗濯物を干していた。リヴァイに改めて釘をさされたものの、イザベルに言ってもらった家族という響きが嬉しくて鼻歌が思わず出る。
太陽が当たればシーツも乾きやすいのになぁと思いながらシワを伸ばす。
『ふんふふ~ん♪ふふ~ん♪』
『リサ、ご機嫌だね』
『ファーランさん!・・・私の鼻歌聞こえてました?』
『可愛い鼻歌ばっちり聞こえたよ』
恥ずかしくてリサは手に持っていたシーツに顔を埋める。そんなリサを見てファーランは楽しそうに笑っていた。
『ははっ!・・・でも、よかった。リサが楽しく暮らしているなら俺たちもここに呼んでよかったってもんだ。でも、リサの家は・・・おばあさんとの思い出の場所だし早く帰りたいよな?』
リサは埋めていた顔をバッと顔をあげた。