第27章 同等の価値
『まぁいい・・・リサとは後でじっくり話するか。お互い話したいことが出来たな』
少し怯えながらリサは前!前!と指をさす。
リヴァイが飛ばした大柄な男がゆらりと立ち上がり、割れた額から垂れる血を手で拭い確認した。
『痛ぇぇ・・・。てめぇ・・・やりやがったな!!!』
『アンカーで額をブチ抜かなかっただけでも有難く思うんだな。・・・リサ、下がってろ』
トンッとリサを押し、リヴァイはゆっくりと前に進む。大柄な男は何やら叫びながらリヴァイに立ち向かっていく。
もちろんそんな拳は当たるわけはなく、リヴァイは軽く避けるとトリガーを握ったまま男の溝落ちに重い1発を食らわし、男は吐瀉物を撒き散らす。
『相手の力量も分からねぇやつだ。危うくその汚ぇのが付いてしまうところだったじゃねぇか・・・』
『リヴァイさん!お怪我ありませんか?!』
リサはポケットからハンカチを取り出し、怪我がないかあちこち覗き込む。
リヴァイが大丈夫だと言うとリサは安心したようにハンカチを持った手を下ろす。
『ゴホッゴホッ・・・。くそっ・・・。・・・・・・、その布切れ・・・』
『・・・・・・あ?これか?』
『明け方、その辺に落ちていた。ゴホッ・・・、珍しい布切れがあったから俺が拾った』
『ほう・・・』
『地下街じゃ珍しい代物だったからな・・・』
『それで?』
『さっき地下商人に売ってきたとこだ、へへっ・・・』
リサはハッとリヴァイを見ると、リヴァイはトリガーを手放し、ナイフに持ち替えており殺意に満ちた目をしていた。
地下商人は地上を行き来している者もいたり、有り得ない金額で売る者や転売する者もいる。
それは、もうハンカチが手元に戻ってこない事と同じ。
『リヴァイさんっ!待って!落ち着いてっ!!』