第27章 同等の価値
アンカーの刺さる音が響き、ワイヤーの擦れる音が聞こえる。辺り一面の壁はアンカーの穴だらけになっていた。
『クソ・・・汚ぇな!・・・どこに落ちた?!』
建物と建物の間に吊るされてる洗濯紐、重なっている木箱の隙間、触りたくもないゴミの裏。
めぼしい所を見つけては手で触り、足で避ける。
『薄汚れた道にあのハンカチが落ちていたらすぐ分かり分かりそうなもんだが・・・』
空き瓶の溜まり場が目につき、しゃがんで目を凝らすがそれでも見つからない。
『落ちた場所が違うのか・・・。違うところに行ってみるか』
反対側の道に向かおうと建物の上に飛ぶ。
カツカツと歩いていると、向かう先から騒がしい声が聞こえた。
『チッ・・・面倒臭ぇことはごめんだ』
他人の喧嘩に巻き込まれるほど暇ではない。
喧嘩か何かだろうなとリヴァイは見つからなように建物から下を睨み見る。
『は・・・?何であいつがいるんだ・・・?』
『姉ちゃん、そんな怖ぇ顔すんなって!ちょっと当たっただけじゃねぇか~なぁ?』
『人通りの少ない場所なのに当たるとかありえません!それに当たるどころかお尻・・・掴みました!!』
『姉ちゃんの勘違いだぜぇ?さては掴むってのはどういうのか知らねぇな。あそこにイイところがあるからちゃーんとそこで教えてやる』
腕を捕まれそうになり大柄な男を見あげながら後ずさりする。
腰に忍ばせていた短刀を取り出すが男はニヤニヤと躙り寄る。震えて持つ短刀には威嚇の効果もない。
『テメェ・・・・・・リサに触ったな?』
ヒュッ!!!
『・・・・・・がぁっっ!!』
『リヴァイさん?!』
リヴァイが空き瓶を屋上から蹴り飛ばし、男の額に直撃すると男は飛ぶように倒れた。
すかさずリヴァイは飛び降りリサの前に立ち、腕を組んで殺気を込めた睨みを利かせる。
『血・・・?!おい・・・お前・・・俺をこんな目に合わせやがって・・・』
『あぁ・・・?俺は今機嫌が悪ぃんだ。捜し物は見つからねぇし、手は汚れるし、それに・・・リサは知らんやつに絡まれてこんなところにいるし・・・』
ジロっと振り返られ、リサはヒッ!と声が上がった。