第26章 面白くない子
男関係かといえばそうだし、違うといえば違う。
だからこう答える。
『ただ、ローザさんにお礼が言いたいだけです』
『珍しい娘ね。あの子に怒鳴りに来る娘はいてもお礼を言いに来る娘なんていなかったわ。いいわ・・・ローザのところに連れて行ってあげる。但し、お客としてよ』
リヴァイとファーランがローザは客としてなら会うと言っていたことを思い出し、お金足りるかな・・・なんて思いながら頷いた。
『こんな所にまで会いにくるなんてね・・・リサ』
『ローザさん、お仕事中にすみません』
大きな鏡台の前に座り乱れた髪の毛を梳かし、鏡越しにリサと目が合う。
甘く、官能的な部屋の香りにたじろぎながらリサは立体機動装置を外し立ちすくむ。
『何しに来たの?アハッ、まさか女同士に目覚めたってことじゃないでしょうね』
『いえ、御礼を言いにきました。私を・・・救っていただきありがとうございました。ローザさんがリヴァイさんに協力してくれなかったら私はずっとあのままでした』
目を瞑り深い角度で頭を下げる。
リヴァイ達との話は中途半端になっていたが、恐らく憲兵への手紙をリヴァイが託したのはローザだ。
『あぁ・・・そういうこと。アンタ達は揃いも揃って馬鹿ね』
『・・・・・・達?』
『それに、用があったとはいえリヴァイは客としてもここに来てるの知ってる?お金払って会いに来たのに何もせず帰るなんて有り得ないよね』
自分の為だと頭の中で言葉を何度も反復させて分かってますと言う。
『・・・・・・喚き散らさないのね。やっぱり馬鹿だわ・・・。そして真面目過ぎて面白くない』
髪をひとつにまとめ口紅を塗り直すと、ローザはベッドに仰向けに倒れる。
リサもここで喚き散らせたらどれどけ楽になるだろうかと思う。
『・・・・・・はぁぁ~・・・アンタと話すの面白くない。だから、教えてあげる。・・・リヴァイとはここでも何もしてない』
『へ?』
『リヴァイにもしリサが来ても何も言うなって言われたけど、面白くないから教えてあげる』