第25章 出逢ってしまったから
『約束を取り付けてる暇もなかったから、断られる覚悟で店に行ったんだ』
『そうですよね…。私は5日後って言いましたから…』
『ははっ…実際は4日後だったけどね。ローザが俺たちに会ってくれるか分からず店側に交渉すると、客としてなら会ってくれる…と』
さっきまでドキドキしていた胸は締め付けられるような圧迫感が襲う。
不安げにリヴァイを見ると目を合わさない。
『さすがにリヴァイを客にするわけにはいかず、俺が行こうとしたら…』
『……俺が行くと言った。俺が行ったほうが話が早い』
ようやくリサはリヴァイと目が合う。
『そ、そうなんですね!でも彼氏じゃないですよね?……あ、お客さんとして…あぁ…うん、そっか』
自分でも何言っているのかリサは分からなくなった。リヴァイは落ち着け…と紅茶を指さされるが今は飲む気にならなかった。
『一応俺も止めたんだけど…ほら…リヴァイは1度言い出すと聞かないから』
『大丈夫です。私の為の仕事って理解してます』
引きつらさないように、精一杯口角を上にあげる。
イザベルも気にかけるように目を配らせていた。
ローザは仕事柄上だけの関係をきっと求めていない。きっとリヴァイが来るだろうと予想して、客というポジションで呼び出そうとしている。
前回断られたからといって、諦めるような人ではない。
『あぁ…俺がナニしようとお前は関係ないからな』
『リヴァイ!!』
『兄貴!!』
ファーランとイザベルが立ち上がり声を上げる。
つい数時間前の甘いひと時は何処に。
『えぇ…関係ありませんね。私も勝手にさせていただきます』
売り言葉に買い言葉。
痴話喧嘩をするような関係になってもいない。
『オレグの話はここまでだ。俺は出掛ける…。ファーラン立体機動持って行くぞ』
珍しく紅茶を少し残したままリヴァイは立体機動装置を装着させ、玄関へ向かう。