第25章 出逢ってしまったから
『兄貴……帰ってきたばかりなのに何処行くんだよ!』
『………散歩だ』
『立体機動装置をつけて散歩…ねぇ…』
カップを傾けたまま横目でファーランはリヴァイを見ると、チッと舌打ちをして出て行った。
『イザベル、私の使ったカップは流し台に置いたままでいいからね』
『え?あ…うん…?』
『ファーランさん、あの立体機動装置は私のですよね?』
『そうだよ。リサの立体機動装置だ、好きな時に使えばいいから』
『ありがとうございます!帰ったら蒸しパン作りますからね!』
『リサもどっか行くのか…?』
『大丈夫、すぐ帰るからね…イザベルは待ってて』
ただの散歩だから。と、リサはウインクをするとササッと装着すると出ていった。
『ファーラン…リサ1人で大丈夫かなぁ?憲兵がいるかもしれないのに…』
『ははっ、心配しなくていいさ。リサはリヴァイのところに行ったんだ。リヴァイがリサを危険な目に合わす訳がないからな』
ファーランはキッチンに立つと鍋に水を入れる。
リサが帰ってくる前に芋を茹でてやろうと思った。