第25章 出逢ってしまったから
『とりあえず、オレグは違法的な薬の乱用で憲兵らに連れて行かれたんだろ?だったら、リサも解放されておしまいじゃねぇの?』
椅子の背もたれを抱きしめながら足をぶらぶらさせるイザベル。
『……だといいがな』
何かを考えながらリヴァイは紅茶のカップを掴み持つ。ファーランはその様子を黙って見ていた。
『リヴァイさん、あのお聞きしていいですか?』
『ふっ、次こそは用があるみてぇだな』
『オレグ……さん…のことはどうやって調べたんですか?憲兵さんに手紙を出したのもリヴァイさんですよね?窃盗団の皆さんが直接憲兵さんに渡したと思えなくて…』
様にならないように少し強調してオレグの名前を言う。
リサ以外の3人はお互いの顔を見合わす。
ファーランはんー…と唇を合わせたまま声を出し、リヴァイを見ると頷かれ、ファーランは説明することにした。
『オレグがローザの客だったのはさっきのリヴァイの話で分かってるよね?』
『は…い』
ローザの名前が出てきた瞬間、嫌な予感がした。
『俺とリヴァイでローザの娼館へ行ってきた。彼女ともう一度話をする必要があったんだよ』
今度はリサがリヴァイを見ると、目を瞑ったまま黙っていた。
ローザはとても美しい。
気は強かったが、スタイルも良く気品があった。
リヴァイと体を重ねた夜を思い出し、自分がしたあの経験をローザもしていたのかと思うと胸がざわつく。
お互い仕事上だと理解していても頭では追いつかない。
『おい、リサ。余計なこと考えてんじゃねぇ』
『リヴァイ、またそんな言い方…』
『リヴァイさん、分かってますよ…。ファーランさん、大丈夫です…続けてください』
リヴァイがローザに下心がないのは前回で知っている。それでも好きな人の過去のことは気になる。
乙女心とは面倒だとリサは自分で思った。