第24章 夜明け
『すごく…落ち着く…。ここに来るのも久しぶりね』
リヴァイが特製だと言って入れてくれた上質の紅茶を啜る。色々なことがあり過ぎて、この場所で紅茶を飲むのが随分前のような気がした。
『さて…一息入れたところで、リヴァイ…今回の件どこから話そうか』
ファーランからの視線を受け取ると、リヴァイはカップを置き、足を組んでソファにもたれる。
リサも1口だけ紅茶を啜るとカップを置いて背筋を伸ばして、横に座るリヴァイを見つめた。
『そうだな…まずはオレグ・ロヴォフについてだ』
オレグの名前を聞くとリサは膝の上の手をキュッと握る。
『オレグは元々ローザの客だった。地上で権威あるやつの親戚らしく、無法地帯の地下街に目をつけた。あいつが持っていた薬は何処で入手したのか知らねぇが、あの薬の効果に病みつきになったオレグは度々地下街の娼婦に使っていたという』
『え…もしかしてローザさんも…使われたんですか?』
『いや、あいつは使ってない。薬の噂は娼婦共の間で広がっていたからな…ローザはプライドが高いからそんなものを使いたくなかったんだろう』
薬を使われたリサには分かる。
自分の意思とは関係なく、体だけ求めてしまい自分なのに自分ではなくなってしまう。
言ってしまえば、どんなにマグロでテクのない娼婦でも魅せる身体になれる。
人気の娼婦だと言われていたローザが使いたがらないはずであると。
『オレグは薬にハマっていった。ローザ曰く、オレグは何度かローザに使ってほしいと渡そうとしていたそうだ。だが、ローザは使おうとしなかった』
『ローザさんのプロ根性が許さなかったんですね』
お金が必要だったとはいえ、そんな場所に軽く足を突っ込んだ自分がローザに対して罪悪感が募る。
『そして、オレグはローザを諦め他の店を転々とするようになった』
リサは1つ疑問が浮かんだが、今は口にしないでおこうと思った。