第20章 今、出来ること
『おーい、銃声が聞こえたと思ったらお二人さん、こんな所で逢い引きかい?』
『ファーランさん!憲兵じゃなくてファーランさんでしたね』
真上からファーランが立体機動で降りてきた。リヴァイの大きめの舌打ちは全員の耳に届き、可笑しそうにリサは笑っていた。
『ファーラン、イザベルはどうした?』
『イザベルなら数名の憲兵の陽動に飛び回ってるよ。あいつのすばしっこさには憲兵も付いてこれねぇって。…だからリサ、心配するな?』
心配そうにしているリサの頭を撫でようとした手が止まる。
今のリサは薄いガウン1枚に下着を付けていないのが分かるシルエット。乱れているガウンの隙間からリサの谷間が見え隠れする。
そんなつもりのないファーランでも、そんなつもりにさせてしまうぐらい今のリサは妖艶であった。
『おい、ファーラン』
『お、おう!なんだよ』
思わずビクッとなったファーランはリヴァイを見ると、ファーランの心を読み取ったように不機嫌そうな表情をしていた。
『と、とりあえずこのままここにいるのは危険だ。リヴァイ、例の物はこっちに用意してある。こっちだ!』
『…例の物?』
例の物があるという方向を指を差し、2人に付いてくるように促す。
リヴァイはリサの手を握り、行けば分かると先に走り出したファーランの後を追う。
『い、いたぞーー!!ゴロツキどもだ!!』
『思ったよりも見つかるの早かったな。たまにはやるじゃねぇか』
『そ、そんなリヴァイさん冷静に言ってる場合じゃないですよ!!』
『リヴァイ、憲兵のやつら殺したのか?』
『殺ってない。誰かさんが無茶するから見逃してやった』
グイグイとリヴァイを引っ張っていたリサは固まる。すみませんと呟くリサにリヴァイは、冗談だと頭に手を置いた。
『ファーラン!予備のガス1本寄越せ!』
『は?1本?』
『2本も付けてる余裕はねぇ。お前はリサを連れて、ここから例の所まで行け。…リサ、必ずお前のところに行くから…信じろ』
『わ、私が事情話せば…』
『憲兵は信用ならねぇ。今のリサじゃ、輪姦されるだけだ。ファーラン…頼む』
リサはファーランに引っ張られるようにその場を去った。