第3章 アジト
『へー!兄貴も器用だけど、リサも器用だな!』
借りた裁縫道具で麻布の破れた箇所を縫う。
幸い穴はそこまで大きくなくて数分で縫い終わる。
『リヴァイさんそんな事も出きるんですね!』
プチッと歯で糸を切り、どうぞとイザベルに渡すとすげー!とくるくる回り出す。
『基本的なことだけだ。ハンカチといい、裁縫といい家庭でも持っているのか?』
変わった持ち方をしたままリヴァイはまだ紅茶を堪能している。
『か、家庭なんて持ってませんよ!今はずっと一人ですけど、血は繋がってませんが、前はおばあちゃんと住んでました。今はもう亡くなってますけど、おばあちゃんに色々教えてもらってました。。』
リサはその時のことを思い出し伏し目がちになる。
『そうか。踏み込むような事聞いて悪かったな』
『いえ!おかげで家事全般出来ますし、こうやってお手伝い出来て嬉しいです』
暗くしたいわけじゃないリサは顔をあげて笑顔に戻る。
顔を上げるとリヴァイと目が合い、頬が熱くなるのを感じた。
暫く他愛のない話をする。
一人になってから、こんなに誰かと話すことがなかった気がする。
それが嬉しくて、聞くのも話すのも楽しかった。
イザベルがかっこいいと思った自分の台詞の話だったり、それについてリヴァイやファーランがあしらったり。
『そうだ、イザベル!お前の立体機動装置、調子悪いんだろ?見てやるよ。リサ悪いけどちょっと席外すな?』
『え~、もっとリサと話がしたい!』
『いえ!私のことは気にしないでください!イザベルもまた後で、ね。』
『うぅ。扱うのは得意なんだけど、メンテナンスとかよくわかんねぇー!』
『バカだからなぁ』
『なんだと~!俺は馬鹿じゃねぇ!』
『はいはい。んじゃ、リサゆっくりしていけよ』
『お言葉に甘えます!』
二人は何やら数字の問題を出してじゃれながら出ていった。
ほんとに友達以上であり、家族のようで、リヴァイも二人には心開いてるようで、
『羨ましいなぁ』
『あ?何が羨ましいんだ?』
思わず声に出ていたみたいでリサは慌てて口を押さえた。