第1章
意味が分からないといった思いが顔に出ていたのだろう。それにいち早く気付いた梓と椿が声を上げた。
「知らなかったかな?は朝日奈家の一員、僕達の妹なんだよ」
「そうだぜーっ!俺らの、最高に可愛くて、最強に格好良いい自慢の妹!」
双子に続いたのは、三つ子の一員である棗だ。
「実は妹は君一人じゃなかったってことだ」
胸に自前のコサージュをつけた祈織が唇に指を立てて、まるで絵麻の心境を代弁するかのようにして総括したのだった。
「びっくりした?」
絵麻は目をまん丸に見開いて、自分をいまだに抱きしめている目の前の青年…いや、女性?を見つめた。
「…そーいうことなんだ。これからよろしくね」
ニコッと笑ったその顔は精悍で、どこからどう見ても爽やかなイケメンにしか見えなかった。だけどその肌の滑らかさや、ほのかに香ってくる石鹸の匂いには女性らしさが垣間見えるような気がしたのだった。