第1章
「お前ら何言ってんだよ。兄は俺と遊ぶの!」
と呼ばれる青年にまとわりついている二人を押しのけて、朝日奈家随一と言っても過言ではない横暴者の風斗が断固とした口調で言い放つ。普段は人を食ったような言動ばかりの彼が、こんなに感情をむき出しにしていることが珍しくて、絵麻は目を丸くする。
「あんたらちょっと落ち着きなさい。まるで遊んで欲しい犬ね。でもまぁ、久々のだもん、気持ちは分かるわぁ~」
今日は男装をしているのに、口調が女性的になってしまっている光が熱っぽいため息をつく。
「ところで、、いいかげん妹ちゃんを離してやってくれないかな。いくら女同士とはいえ、相手ではビジュアル的にちょっと複雑なんだ」
普段の法衣ではなくスーツを身にまとった要が言う。その言葉の一部分に違和感を覚えて、絵麻は首をかしげた。
「女同士…??」