第1章
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次の日の朝、リビングには朝日奈家きょうだいが勢揃いしていた。
「もう帰っちゃうのかよ兄。もっと色々話したかった…」
「また今度な、侑介。ラインで近況教えてくれな」
「ま、僕はフェス観に行くから、またすぐに会えるけど。楽屋に遊びに行っていいよね?兄」
「いいよ。でも俺のバンドのメンバーには礼儀正しくしろよ?」
「えーっ、僕も観に行きたい!!ふうたんだけずるいーっ」
「弥にはあのライブはまだ危ないからダメ。踏み潰されちゃう。その代わり、風斗と一緒に楽屋に遊びにおいで」
「兄と買い物行きたかった…。今度、いつ帰ってこられるんだ?」
「また時間を見つけて帰ってくるよ。その時は新しいバッシュ買ってやるから、昴。いつも雑誌見てるよ、これからも頑張れよ」
「兄さん、英語の参考書ありがとう。今度スピーチの方も見てくれると嬉しいな」
「俺が昔使ってた参考書だけど、役に立ったなら良かった。海外バンドの友達から生の英語が聞けるようセッティングしてやるから、待ってろよ祈織」
「…髪切れなかった。残念。代わりにこれ、トリートメントあげる」
「ありがとう琉生。髪伸びたら、その時は切ってもらおうかな」