第1章
だめだ、このままだとズルズルと流されていってしまいそうだと絵麻は思った。
同性からキスされたことに驚きはしたが、不思議と相手だったら嫌な気がしない。それどころか心地よいとすら感じてしまう…。
一体どうしたらいいのか、と思った時、絵麻のセコム・ジュリが浴室の扉をバンバンと叩く音が聞こえた。
「おいお前ら、随分と長風呂だが、のぼせていたりしないだろうな?ちぃ、無事か?!」
扉を開けたいが、オスとしての紳士さに欠ける行動は慎まなければならないと思っているためそれもできない。そんなもどかしさからジュリは半ギレ状態だ。
キーキーと怒鳴るジュリの声が可笑しかったのか、は顔をほころばせたのだった。