第1章
「君は何も気を使うことはないよ。自分の思ったままに動けばいい。君が好きだと思った相手のところに行けばいいんだ。
それに、今日一日で、あいつらがどれだけ君の事を大切にしているのかはよく分かったよ。だからあいつらだって、君の嫌がることはしないはずだよ。それでもあんまりしつこくて困ったら、俺のマンションに来ちゃいなよ。ちょっと家出してやれば、あいつらも少しは落ち着くでしょ」
「あ、ありがとうございます。さんと会えて、良かった」
その言葉に、絵麻はホッとした。見た目が完全に美青年なので最初は驚いたけれど、同じ女性同士であるにこう言ってもらえたら、これほど安心することはない。
絵麻は安心して目を閉じた。身体がポカポカとして、とても心地よい。穏やかな波にユラユラと揺られるような気分で、少しぼんやりとしてしまった。