第1章
「ほら!」
ばっ、とがシャツまでも脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になった。
「きゃ、きゃあっ」
絵麻は咄嗟に悲鳴が出てしまう。だが、恐る恐るに目を向けると、その身体はとても均整の取れた美しいもので、俗っぽいいやらしさなど微塵も感じさせなかった。まるで美術館に展示されている彫刻のように、ただただ美しいと思った。
「…きれい」
思わず、思っていたことが口からこぼれてしまう。
「ふふ…」
そんな絵麻の様子には少し笑って、裸のまま絵麻を抱きしめた。ふわりと香る石鹸の香りと、吸い付くような滑らかな肌の感触に、絵麻はなぜかとても懐かしい記憶が呼び覚まされるような気がしたのだった。
(お母さんのことは覚えていないけど、もしかしたらこんな感じだったのかも…。)
そんなことを思いながらぼんやりとしてしまった絵麻だったが、結局その後はに促されるままに服を脱ぎ、一緒に入浴したのだった。いくら顔だけ見ればイケメンとは言え、全裸でいれば紛れもなく女性であるので、絵麻の自称保護者であるジュリも止め切れなかったのだ。
ちなみにジュリはこれでも一応オスなので、風呂場の中まではついてこない。脱衣所の入口の前に仁王立ちして、他の兄弟達の侵入が無いか目を光らせていたのだった。