第1章
「はぁ、今日は色々あったから何だか疲れちゃったな。お風呂に入って、もう寝ちゃおうかな」
慣れない化粧もしているため、肌に膜ができているようで息苦しい気もする。風呂でさっぱりと洗い流してしまいたかった。
自室の風呂はまだ修理中であるため、絵麻は5階にある共同風呂に行くことにした。
5階に登っていくと、リビングには誰もいないようで明かりが消されていた。大きな窓から月明かりが差し込んでいるおかげで真っ暗ではない。広い部屋に悠々と置かれた大きなソファやリビングテーブルが、青白い月明かりでぼんやりと照らし出されている。
ジュリを肩に乗せたまま絵麻は浴室へと向かったが、すでに浴室には明かりが灯っていた。しかし中から水音はしない。絵麻がこの家に来てから作られた、「現在使用中」の札もかかっていなかったので、きっと誰もいないだろうと思って絵麻は扉を開けた。
「え?」
誰もいないと思っていた脱衣所にはの姿があって、突然の来訪者にポカンと口を開けていた。
手には脱いだばかりと思われるジャケットを持ち、白いワイシャツだけを身につけてズボンははいていなかった。顔や腕と同様に、手触りの良さそうな白い太ももがスラリと伸びていて、目のやり場に困るような姿だった。