第1章
「そんな!~!たまにしか会えないんだから、お兄ちゃんにもっとを充電させてくれよぉ~!」
普段の飄々とした様子がぶち壊しである。若干半泣き状態の椿に、絵麻は最初冗談かと思ったが、どうやら本気らしいということに気がついて更に驚いた。
「兄、今日のスーツ超かっけぇ」と侑介。
「兄、今度のフェス観に行ってもいい?」と風斗。
「兄ちゃん、おうちに帰ったらまたベース弾いて!」と弥。
「、今度お前のバンドの曲が、僕達の出演するアニメの主題歌に決定したよ」と梓。
「そのアニメはゲーム化するから、そこでも使われるぞ」と棗。
「兄さん、俺留学したいから、後で英語教えて」と祈織。
「、家にいる間に髪切らせて」と琉生。
、、と兄弟達の話は止まらず、その輪の中心にいる当人は、若干うんざりしたような表情を浮かべていた。
「うるせぇ!ちょっと落ち着け、兄貴共と弟達。俺は絵麻ちゃんともっと話がしたいんだよ」
ついに我慢の限界に達したのか、は立ち上がると、自身に群がる兄弟達に突進していった。
まとわりついてくる兄弟達を一人ずつぶん投げながら(弥は除外)、が怒鳴る。第一印象では物静かでクールな人なのかと思ったが、意外にも活発な性格のようだった。そういう点は少し侑介とも似ているような気がする。