第1章
「兄はすげぇんだぜ!」
絵麻の同級生である侑介は、先程から興奮しっぱなしである。すげぇ、すげぇをとにかく連発しており、のことが大好きなのだということがよく伝わってくる。
しかしそれは侑介に限ったことではなく、弥は膝に乗っかって甘えているし、椿はの肩に腕を回している。昴もそこまであからさまではないにしても隣にべったりとくっついているし、風斗はソファの裏に回って、後ろから抱きつくような格好をしている。
他の兄弟達も同様で、それぞれにやり方は異なるものの、とにかく少しでもの側に行きたいようだった。
13人の兄弟達にべったりとくっつかれて、その中心にいるは徐々に苛立ってきた様子だった。
「あぁ、もう、暑苦しい!」
そう言っては、一番べったりとくっついている椿のことを押しのけた。だがそれも仕方がない。まだ初夏とは言え今日の陽気はとても良い。大勢の男どもに張り付かれたのでは暑くて仕方がないのだろう。