第1章 私も今日からヒーロー科
いろいろ省きながらではあるが、諸事情を相澤先生がみんなに話してくれた。
今日の主な講師はスペースヒーロー「13号」。私の最も尊敬しているヒーロー。
人命救助のプロなんだ。13号先生の個性でいろいろな人を助けることができる。
ヒーローの一番大切なことだと思う。
派手な活動なんてどうでもいい。
ヒーローのランキングも何でもいい。
私は、人を助けたいだけなんだ。
ただ、どんな方法で助けたいのか、どんな方面から助けたいのか、ビジョンが浮かばない。
それはきっと、個性がまだないからこその悩みなんだと思う。
「この授業では…心機一転!人命のために、“個性”をどう活用するのかを学んでいきましょう!」
13号の言葉一つ一つが胸に響く。
私の“個性”をどう活用したらいいのか。見定める。
そのために私はここに来たんだ。
そして訓練が始まろうとした矢先だった。
「一塊になって動くな!!!!」
相澤先生のその声で張り詰められた会場に現れたのは、不気味なヴィラン。
この学校に…、セキュリティの万全なこの学校に入ってくるなんて、相当だよ…!?
私は相澤先生から13号先生に引き渡され、相澤先生はヴィランと対峙している。
個性のない私は、ただ見ていることしかできない。
なのに…、
黒い渦に飲み込まれた私は、13号先生からも引き離されてしまった。