第20章 邂逅の呼吸
「鬼殺隊士が刀を抜く意味を分かってる…?」
「…ああ…だが一つだけ、訂正するところがある」
「…ッ!?…な、なにを…」
振り返ったところまでは見えていた
でもそのあとすぐに間合いを詰められたことに気付けずに…次の瞬間には目の前に無惨が立っている
そのまま腰に手を回されて抱きしめられた
そのまま締め殺すこともなく、ただ抱きしめられたことに動揺が隠せなくて思考がもたついてしまう
「お前は鬼殺隊の服を着ているが…鬼であることに変わりはない」
「……知ってる」
私が一番よく知ってる
鬼殺隊には人間しかいない
彼らは千年も隊士ではいられない
私が明らかにこの組織の不純物なのは…私が一番よく知ってる
「…知っている…私はどう足掻いても鬼なんだっていうことは。…だから…私は鬼だから…人にできないことだってできるのよ」
「それで殺せるとでも?」
「無理でしょうね…でも私には…今はこうする以外に方法が無いから」
手に持っていた刀を、私を抱きしめる無残の背後に手を回すようにして持っていく
手が切れることも厭わず、刃を握り締めて私と無惨が串刺しになるように構える
そのまま何の躊躇いもなく自分ごと刀で貫く
失敗作の刀とはいえ日輪刀…口から逆流してくる血液を吐き出しながら痛みを食いしばって耐える