第19章 色変わりの呼吸
その日は非番だったけど次の日からはまた巡回任務が始まるのでずっとはいられなかったけど、代わりにしばらくの間…昼間は鱗滝さんのもとで過ごしていたが…
試験終了から数日が経ったある日、炭治郎の刀が届いた
三度笠に風鈴を沢山つけた出で立ちで現れたのは、鋼鐵塚という名の刀鍛冶だ
何度か刀鍛冶の里に行った時に、薄らと噂を聞いたような記憶がある…が、皆んな口を揃えて変わり者だと言うばかりで、それしか知らないのだけど
そんな鋼鐵塚さんと鱗滝さんは親しそうに会話をしているので、あの二人は知り合いのようだった
鱗滝さんと炭治郎、そして鋼鐵塚さんの三人で色変わりの刀について話している間、私は別室で目覚めた禰豆子ちゃんの数回に渡る診察をしていた…
「うんうん…あれから特に変わりはなさそうだね。それにしても何があったのかな…こんな短期間で、血肉も食らわずにこの様子…」
「むー…?」
禰豆子ちゃんの体に流れる血は確かに鬼のものだ
気配も何もかもが鬼そのもの…でも、普通の鬼の気配とは格段に違う
違うといってもこの違いに気付くのは限られた鬼たちだけだろう…それこそ上弦の鬼たちや鬼舞辻辺りだろうか
今の禰豆子ちゃんは現存する鬼の中で限りなく私と近しい何かを持ってる
分かるのはそれだけだ…私自身、自分がどんな風に他の鬼と違うのかよく分かっていないので、結局何も分からないのと変わらないと言う診断結果だ
「お互い苦労するねぇ…禰豆子ちゃん」
「むー?…むー」
竹の猿轡をつけたままの禰豆子ちゃんは頭を傾げながら、私の顔を両手で包む様にぺちぺちと触る