第14章 拘束の呼吸
でもやっぱり…その時に直面したら…目の前の人の体が分たれるくらいなら自分の体を差し出すだろう
別に正義感とか、名誉とか、そんなものが欲しいわけじゃない
できるだけ皆に、血を流してもらいたくないだけだからだ
「それはそうと…お体の方は大丈夫ですか?」
「うーん…それが、すこぶる調子がいいというか…前より力が出せそうというか…」
そう、一番の問題はそれだ
今までと明らかに違う。まるで鉛の重しがついた枷が取れたような…とても不思議な感覚だった
「鬼としての力が増幅されている、ような感じでしょうか」
「そう言い表すのが一番近いかも。ここまで変化があるのは流石に気になるし…他にも何かわかったら報告するよ」
「わかりました。あと、元気そうなら顔を出すようにとお館様から言伝をもらってるんですけど…」
「あー…わかった。すぐ用意するよ」
ちらっと襖の先を見る
昼間なら、この部屋の外の廊下には日が差しているけど…それがないということは今は日が暮れているんだと思う
それならささっと行ってしまおう