第14章 拘束の呼吸
「終わったらもう一度寄ってもらえますか?…アオイがとても心配してたので」
「アオイちゃんが?…じゃあ早めに帰らなきゃね」
「隊服一式は血みどろになっていて使い物にならなくなっていたのでこっちに新品があります。刀も、いつものやつを揃えてもらいました」
「おお…準備良すぎる…ありがとうしのぶちゃん」
そう言うとしのぶちゃんは微笑みを返して、部屋を出て行った
…私も早く支度をしないと
手短に身支度を整えて、髪の毛もいつものように結ぶ
部屋を出て屋敷を出ると外はやっぱり夜だった
懐かしい…確か師匠との稽古も私が鬼だから必然と夜になってしまうため、月明かりで明るい夜によく指導されていたっけ
「…あれから約九百年くらいか…時が経つのって早いなぁ…」
と呟きながら夜道を駆ける
やっぱり変だ…もちろん良い意味で
いつもより体が軽いし、速く走れている
うっすらと…現実なのか夢なのか定かではなかったけど…
口の中に何かがニュルッと伝うあの感覚…もしかしたらあれは実際に起こったことで、そのせいでこうなったのだろうか
だとしたら…考えたくもないというか…考えるだけで怖いというか…
「千年も姿すら見つけられなかったのに…もしかしてあの場にいた…?でもなんで…?」
顔の見えない鬼たちの頂点に君臨する悪鬼…鬼舞辻無惨の姿が、うっすらと浮かんだがすぐに頭を振って考えを飛ばす
今はそれよりも速く…産屋敷家に向かわないといけなかったから