第8章 稽古の呼吸
「十二ノ型…師走」
「…ッ!?」
十二ノ型は剣技じゃない
剣を振るう際の足運びを極めた歩法だ
時透くんの使う技に似たものがあるが、原理的には同じものになる
技を出させる前に間合いを詰め、背後に回って…不死川さんの首元に手をゆっくり添わせる
「実戦ならば…このまま首を落とします」
「…今の型は初めてだなァ。目で追えなかったぞォ」
「不死川さんが血を使うからですよ…早く傷口縛ってください」
「うむ!両者勝負あり!!今回も依千の勝ちだな!」
その煉獄さんの言葉に、不死川さんからまた距離を取る
…で、勢いよく溜息を吐いた
「あーもー無理!今日は無理!絶対無理!!」
「なんと…この後は俺と時透が控えているぞ!」
「じゃあ煉獄さんはしこたま酔い潰れた後で稽古ができるんですかね!?」
そう言葉を吐き出してその場にしゃがみこむ
今はもう血の匂いはしないが、これはすぐに回復するようなものでもない
「…さっきより顔が赤い…不死川さんのせいだね」
「あァッ!?んなもん気合いで治せェッ!」
「私はあくまで他に鬼より耐性がある程度ついてるだけであって、血の匂いにはもとより敏感だというのを忘れないでくれないか…」
とはいえ、最近何かと理由をつけて稽古をすっぽかしていたのは事実だし…
体の治りを、血を早くめぐらすことによって早める