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千年越しの恋情記 【鬼滅の刃】

第8章 稽古の呼吸





「…うん…こんなものかな。大体は抜けたかも」

「確かに先ほどより顔色がいいな!」

「いつも白すぎて良いのか悪いのか分からないけど…でもまぁ、回復したのなら早く稽古を始めようか」

「容赦ない…これが柱か…」



じんわりと目頭が熱くなってくるようなこないような、そんな思いをしながら、あたりに散らばった木刀を拾い集めて新しい木刀を二振りばら撒く

夜の見回りが始まるまでに終わったとしても、今日が命日になったりするんじゃないだろうか…

そんな考えを巡らせながら、二回戦…煉獄さんとの稽古が始まろうとしていた




「勝負有りッ!」



煉獄さんの声で場が制止する

…で、何度目かわからない大きなため息を吐く



「…も…もう無理…もう今日はこれでもかってくらい頑張った…」

「最後…また逃げた」

「あれは正当なる理由あっての実力行使っていうんだよ…人の右手首切り落としてるんだからいいじゃん…」



そう言って、先程時透くんに切り落とされた右手を拾って傷口に押し当てる

鈍い痛みとともに、ゆっくりとだが傷口が接合されていく



「切っていいって言ってたから…それにすぐに治るんでしょ?」

「まぁそうだけど…」

「俺や不死川と連戦した後とはいえ、なかなかいい所まで行っていたな!時透!」

「次は俺も切り落とすゥ…」

「ちょっと?物騒すぎない…?」



そんな会話を交わしながら、あたりに散らばっている木刀を片付ける
一人相手に約四振りの木刀を駄目にしてしまった…あとで発注しておかなきゃ…

木刀だって結構お高かったはずだ…それをこんなポキポキ折ってしまって…
裏とはいえ柱であるため、給料は一応もらってるのでそこから差し引くか…



「じゃあもう今日は用ないよね…しばらく稽古手伝わなくていいよね…」

「何言ってやがるゥ…なんのための稽古だァ?」

「鬼よりも労働者してない…?」

「こんなの普通だよ。寧ろ鬼のくせにそっちの方が気合いが足りてないんじゃない?」

「し、辛辣…」



ほろり…と涙が一雫溢れた…気がした

一通りの片付けを終わらせて、これから見回りの任務があるためにその場解散する

その頃には切り落とされた腕もしっかりとくっついていたし、私も任務に支障はなさそうだった
真っ暗な夜道を進みながら、今日も鬼を狩る夜が始まる

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