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千年越しの恋情記 【鬼滅の刃】

第8章 稽古の呼吸





「では……始めッ!!」


「風の呼吸壱ノ型 塵旋風・削ぎ…ッ!」

「鬼の呼吸二ノ型 如月」



凄まじい勢いで地を抉りながら巻き起こる技を、幾重にも重なるような斬撃で打ち消す

…と同時に木刀が弾けるように折れてしまったので、足元に落ちていた木刀を器用に蹴って手元まで跳ね上げる

掴むと同時にまた次の技の準備をする



「鬼の呼吸四ノ型、卯月」

「風の呼吸伍ノ型、木枯らし颪ッ!」



私から仕掛けた技を、今度は不死川さんが打ち消す

そしてまた木刀が折れてしまう
今度は都合よく足元には落ちていないので、技の隙を見てその場から離れる



「後四回凌げば実質俺の勝ちだなァッ!」

「決着は相手の動きを制した方。木刀が全部折れてもまだ分からないよ」

「それもそうだ。お前は刀が無くとも素手でもやれる奴だもんなァ…じゃあこっちも本気で行くぞォッ!!」

「なっ!?…お、大人げ無ッ!?」



突然不死川さんが自らの腕を斬りつける

ぼたぼたと滴る鮮血に、思わず悪寒が走った
…と同時に、急いで呼吸を最低限に留めて距離を取る

不死川さんの血は鬼にとって極上の酒のようなもの。〝稀れ血〟と呼ばれる血液の中でもさらに稀れな血であるため、鬼であれば彼の血に酩酊してしまう


少しばかり耐性があるからとはいえ、私だって例外じゃないわけで



「これは…ハンデ取りすぎ…でしょう…」



とっさに距離を取ったとはいえ、少し吸い込んだだけでかなり頭にくる
千鳥足とまではいかないが、さっきと比べるとかなり動きが鈍くなった様子に不死川さんが声を荒げる



「少し吸い込んだだけでそれかよォッ!だが実戦を考慮すればこういう場面だってあり得るんだァ…悪く思うなよォ…!」

「…厄日だ…」



そう呟いて足元に落ちていた木刀を拾う
これじゃあ次で決めないと稽古どころじゃない

まだ余韻は残るけど、それを押し殺して集中する

どうせ一つ技を使えば木刀は壊れてしまうのだ。なら私の手持ちで一番強力な技で終わらせる



「鬼の呼吸」

「風の呼吸…」



私の出方を見てから技を出そうとしているのか、不死川さんはまだ技を出さない

…なら、追いつかせない

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