第1章 1限目
「お前相変わらず良いとこ住んでんな」
『あはは…まぁ、両親が蓄えかなりある人だったので…』
目の前には高層マンション。
ゆうに30階はありそうな程煌びやかなタワーマンションだ。
私の両親は2人とも無個性の銀行マンだった。
1人娘の私に苦労させたくなかったらしく、高校入学と共にここのマンションの一部屋を買ってくれたのだ。
いや、いくらかかったの?って聞いたところで話してはくれなかっただろうが。
やっとのこと拘束を解いてもらい、鞄の中を漁って鍵を取り出す。
自動ドアを通り抜け、暗証番号を入れ二個目の自動ドアを通りだだっ広いエントランスに出る。
そこには警備員さんが24時間体制でおり、軽く会釈をしてエレベーターの方へ歩く。
先輩も黙って後ろに付いてきてるようだ。
エレベーターに乗り込むと、鍵を差し込み25階のボタンを押す。
このエレベーターは誰でも使える訳ではなく、鍵を持っていないと動かないのだ。
もしくは部屋に居るものが許可をすれば動くのだが。
チーーーンと音が鳴り、廊下を歩く。
私の部屋は角部屋なので、少し歩かなければならないのが難点だ。
まぁ、日当たり抜群だけども。
部屋の前に到着し、鍵を差し込みながら暗証番号を入力する。
セキュリティはかなり良いのだが、個性社会のこの世の中に必要か…?なんて思ったが、あるに越したことはない。
『ど、どうぞ…』
「あぁ、邪魔する」
2人で家に入る。
あ、靴ちゃんと綺麗に揃えてる、流石合理的主義。
スリッパをお互いに履いてリビングへ向かい、適当に座っててもらう。
その間に急いでコーヒーを淹れる為やかんに水を淹れお湯を沸かす。
「いや、飲み物はいい。
俺にはこれがあるからな」
そう言って懐からウイダー◯ゼリーを出して飲み始めた。
え、いや飲み物…?ご飯…?んんん??
まぁ、先輩が良いなら飲み物を淹れるのをやめよう。
早く話せって目で訴えられておりますので。