第18章 猟奇の国のアリス/アリスパロ/色々キャラ
⇒ judgment
クラピカに身を寄せられたまま息を殺していた。心臓の音だけがやたら煩くて恥ずかしいやら落ち着かないやらで リネルは顔を真っ赤にしながら固まっていた。
「……全くもって懲りないな。勝手に赤い庭を作っていたとは」
誰かの声が響く、思わずパチリと目を開いた。何者かの気配を察したのか クラピカはいよいよ本格的に体を抱き締めてくる。
「静寂の根源色である黒で染め尽くしてやろう」
「貴様……っ!!」
クラピカの鋭い声とともに 腕をとかれた。いつの間にか目の前には半ば想像通りの人物が姿を現していた。
額に浮かぶのは黒い十字の模様。長いマントも騎士にも見える格好も、黒を基調に構成されているが 頭の上にはクラピカがしているものによく似た黄金色の王冠を携えている。胸元でキラリと光る 深い赤色のカメオに目を奪われた隙に あっという間に距離を詰められていた。
「待っていたぞ。アリス」
その所作はまるで王子様、クロロはその場に片膝を落とす。片手を取られ ごく自然にそこへ唇を寄せられた。
「…クロロ、ッ」
「お前は本日のパーティーの主役だ。歓迎しよう」
柔らかく片手を捉えられる、クロロの瞳がさらりとした黒髪から真っ直ぐに覗いていた。どくんと変に胸がなる。
第一に、こんなキャラクターはアリスの世界にいただろうか。いたかもしれないが そこまで目立つ存在であっただろうか。クロロの格好から 推測を立て恐る恐る口にした。
「…アノ人っていうのはやっぱりクロロで、もしかしてクロロは…ハートの王様…?」
「半分正解と言った所か。スペードの王 とでも呼んでもらおうか」
クロロはその場から静かに立ち上がる。見るからに怒り心頭しているクラピカに向かって冷ややかな声を出した。