第18章 猟奇の国のアリス/アリスパロ/色々キャラ
壁に張り付けられた小さなネズミを支えるのは見覚えのある鋲。ただネズミは明らかに腹を割かれているし 血液や体液、内蔵が混ざりぐちゃぐちゃにされている。
なぜ、ネズミだけは素にネズミでしかもグロいのかがわからないまま。イルミはフェイタンに その黒い目を向けていた。
「何で勝手に殺るかな」
「眠らせるだけなら死んでも同じね」
「壁のクリーニング代請求するから」
「ハ 馬鹿が。勝手に言てたらいいよ」
「居候のくせに口の聞き方がなってないよね。矯正してやろうか?」
「あああ~美味しい!このお茶すっっごく美味しいね!!」
「ああ うん、そうでしょ。今日の為にわざわざ用意させたからね」
「そうなんだ!ありがとうイルミ!コレなんて茶葉?」
「庭に生息する芋虫を干物にして煎じて、蝙蝠の生き血から抽出した上澄み液で出したお茶」
「………」
「滋養にいいんだよ?」
折角そらした話題が終わるし、口の中が一気に気持ち悪くなった。
「そうだ。アリスにプレゼントがあるんだよね」
いきなりそう言い イルミはガタッと席を立つ。
隣室に呼ばれ、大きな鏡の前に立つように促された。後ろに立つイルミが 腰を屈め 隣に顔を寄せてくる。
「何か足りないと思わない?」
「え、何かって?」
「ここに」
広い掌にするっと頭上を撫でられた。咄嗟に隣を向いてみるが 本人は表情なく鏡の中を覗いたまま。
視線を戻せば 頭の上には アリスらしい黒リボンのカチューシャが乗せられていた。
「パーティー行くんだよね?アリスなら正装しなきゃ」
「…うん。ありがとう イルミ」
鏡越しに目が合う。キレイな指先は黒いリボンに伸びていた。
「可愛いね」
「え?!」
「帽子以外は初めて作らせたけど出来はまあまあかな」
意味あり気な感想を述べ 鏡の中で自身のシルクハットの角度を調整した後、イルミは元の大部屋に足を戻した。
⇒ イルミのイカレ帽子屋
“欲しい庭があるならば 己の秩序で創ればいい。有刺鉄線に閉じ込められる壊れた人形達だけが 茶会を堪能出来るから”