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〈短編〉H×H

第18章 猟奇の国のアリス/アリスパロ/色々キャラ


⇒ act.5 イカレ帽子屋

「この部屋ね」

フェイタンに抱かれドキドキしたまま連れて来られた屋敷内のその部屋は、想像とはだいぶ異っていた。イカレ帽子屋の茶会と言えば騒がしく賑やかな筈、ところがその部屋は黒ミサか葬式か はたまた怪しい闇の儀式でも始まりそうなくらいに薄暗く重苦しい空気が充満していた。

奥から静かな声がした。

「遅。何遊んでたの?」

「コイツが来るの遅過ぎただけね」

「その辺管理するのがお前の仕事なんじゃないの?」

「死にたいか ワタシに意見する許さないよ」

長方形の大部屋には その形をそのまま縮小した長方形のロングテーブルがあり、その上にはローソクが何本も揺れていた。ぼうっと照らされる部屋の一番奥に誰かが座っている、リネルは目を凝らした。

踏ん反り返り椅子に腰掛け 腕と脚を組んでいる姿が見える。大きなシルクハットを深く被っているから顔はわからないが、卵型の輪郭と長い黒髪にキャラクターの予想がつく。恐る恐る尋ねてみた。

「…イカレ帽子屋はもしかして…、イルミ?」

「ピンポーン」

イルミはシルクハットを片手でくりっと上げた。現れる大きな目と視線がぶつかった。彼のトレードマークとも言える光のないその目は 実際に見ると想像以上に愛らしい。

不思議な感覚の中、吸い寄せられるように 無言でしばらく見つめあっていた。流石に目が少し乾いてきた頃、イルミがポツンと口にした。

「ようこそ。イカレた茶会に」

「ささと座るね」

「あ、はい…」

フェイタンに顎先で 席に着くよう促された。お茶を運んでくれるのはどこから湧いたのか 目がイッているイルミの針人間で、苦笑いを浮かべながら一応軽い会釈を返した。


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