第15章 A線上の恋煩い/ヒソカ/オケパロ/その他キャラ
しどろもどろになりながらリネルは片付けを終える。
鼻先をくるりと返し、ヒソカは 堂々と舞台の前を通り行く。リネルはバッグを両手に抱え、なるべく小さくなりながら その後ろについて行った。
「おい」
ヒソカがクロロの前を悠然と過ぎ、リネルがぺこりと会釈をした瞬間、落ち着いた声で呼び止められた。
「お前達ふたり、随分と帰宅が早いじゃないか」
「野暮なコト言うなよ」
「お前らの関係はどうでもいい。本番も近い、個人レッスンも兼ねて彼女のAの音程についても指導しておくんだな」
「ああ。そのつもりさ」
ヒソカはへらりと返答をしていた。
これから先の予定はデートではなかったのか、単純な個人指導なのか、むしろ怒られスパルタ訓練をさせられるのか。色々聞きたいのが本音だが、とりあえずは大きな背を追いかけるしかなかった。
◆
向かい先はどこなのか。
ひょっとして例のカレシが働く先日の定食屋なのかと勝手に予想したが、本日はそうではない様子。
到着先は想像を遥かに超えた。
美術館のような佇まいの建造物を前に、リネルは大きく息を吸った。
「…ヒソカさん ここって…」
「おや 知っていたかい?」