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〈短編〉H×H

第15章 A線上の恋煩い/ヒソカ/オケパロ/その他キャラ


「やぁ ゴン」

「あっヒソカ 今日も練習?お疲れ様!」

「…………………」

これは一方的なヒソカへの先入観であったのだが。
向かう先は卒のない洒落たレストランか、もしくは会員制の危険臭しかしないクラブか何かかと勝手に決めつけていた。

着いた場所はとても庶民的だった。夕方の風にバタバタはためく黄ばんだ暖簾の先には、いかにも中年ばかりが集う定食屋が広がっている。リネルにすればこんな場所に入るのは初めてに等しく、失礼なほどキョロキョロ店内を見回してしまった。
アルバイトらしい少年がこちらへ駆け寄ってくる。

「……あれ?珍しいね 今日はヒソカ1人じゃないんだ」

「彼女は一緒のオケのコさ。紹介しよう 彼はボクのカレシのゴン」

「あっ もう!またそんな勝手なこと言って。オレは男だよ!」

「くっくっく ゴンの為なら性別も越えてみせるさ」

「もーヒソカってば!……おねえさん、信じちゃダメだよ?」

ゴンは不安げに首を傾げていた。少年は素直で誠実な印象だ、ヒソカがこの手の人間と知り合いだったことに驚いてしまった。

放たれる甘いリズムはまさにdolcemente(ドルチェメンテ)、ヒソカは何やら嬉しそうであるし オーケストラの中ではこんな彼は見たことがない。

「照れなくてもイイじゃないか。それよりもゴン いつもの頼むよ」

「生姜焼き定食、生姜多めの脂身少なめ ご飯大盛りだね」

「かーっ!散れ散れ! テメェなんかに出すメシはねぇっつーの」

いつの間にやら 汚れたエプロンで仁王立ちをしている髭面の男が会話に混ざっていた。ヒソカはそれをしらりとかわし、ゴンに笑顔を向けている。

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