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〈短編〉H×H

第15章 A線上の恋煩い/ヒソカ/オケパロ/その他キャラ


季節は少し肌寒くなってくる頃合い。
丈の短いジャケットを羽織り 髪を派手にセットしているヒソカは バイオリニストというよりもどこぞのバンドのギタリストみたいだ。

「…………あの、っ」

ヒソカは多くを語らない。つまりは無言の時間が長い。周りの雑音ばかりの道端では 先ほどまでこれでもかと練習を重ねた名曲のワンフレーズが、リネルの頭の中にこだましていた。

「……ヒ、ヒソカさんの行きつけってどんなお店なんですか?」

精一杯で捻り出した言葉だが やはり会話は続かなかった。返答が間に飲まれていることに、素っ頓狂な質問をしてしまったのかと今更遅過ぎる後悔をする。

「すみません言いづらかったら…別に」

「いや。ボクのカレシが働いている店なんだけど」

「そうなん…っええ?!か、彼氏?!」

「ああ」

口をぱくぱくさせながら問題発言の当事者を見上げれば、愛おしい人を想うよう 優しげな顔付きをしているではないか。

変わり者だとの噂が絶えないヒソカだが “カレシ”がいるとは想定外もいい所。何よりこの恋がこんな形で あっさり終わるとは、予想すらし得なかった結末である。

「か、彼氏っていうのは、」

「ン?」

「だ、…男性なんですか?」

「モチロン」

「それは、つまり、その……」

「こっちだ 紹介しよう」

ヒソカは大通りを右に曲がり、挟まる道を歩む。その足取りはワルツの如く愉しげで弾んで見えた。

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