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〈短編〉H×H

第14章 恋心/イルミ/カオナシパロ/シリアス


「みんなオレを欲しがるのに リネルはオレを拒否するの?」

「そうじゃない…っでも」

「オレを拒否するんだ」

「…そうじゃないんです!あなたはここにいない方がいい、それがあなたのためだから、っ」

「リネルのためにここまでやって来て ずっとリネルを待っていたのに。リネルのためならなんでもあげると言っているのに。なのにオレを拒否するんだ」

「っ…元のあなたに 戻って欲しくて」

「言葉も持たないあの姿がオレ本来の姿だって言うの?せっかくこうして話せるようになったのに。リネルは喜んでくれると思ったのに。なのにオレを拒否するんだ」

「……いやっ!!」

荒々しく組み敷かれれば 小さな身体は黒い影の中に閉じ込められる。本能が拒絶反応を示し 顔を思い切りそらせた。

隣に転がるのは湯女の崩れた顔だ。太い鋲の刺さる顔面は 歪み潰れ、何重にもなる皺からは血が滲んでいる。逃れる術を知らず リネルは目を瞑った。

「リネルが欲しくてここに来た。そうか、そうなんだ。オレはリネルが欲しいんだ」

「嫌っ…」

「リネルが欲しい。リネルの全てが」

「や、やめて」

恐怖で前歯がカチカチぶつかる。その間から必死に声を出す。

「あなたは…ここにいない方がいい。ここにいても、何を食べても殺しても、きっとあなたは満たされない…元いた場所に、戻った方がいい…っ」

「リネルが欲しい。リネルがオレのものになれば満たされる」

「違う…っ」

「リネルにもオレを欲しがってほしい。言ってよ、オレが欲しいって」




目の前には、鋲。

「欲しがれ。」

「私を殺すの?それとも、犯すの?食べるの?…っ」

「殺すとか食べるとか、何を言っているの?」

「だって…………」

「オレはただ、
リネルが欲しくて、リネルにもオレを欲しがってほしいだけ」








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